本に殴られたい。

物理的ではなく。

親友の辞め方

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西加奈子さんの「iアイ」を読みました。

 

私には親友がいます。

こんなこと正気で書けるのってめちゃくちゃ運が良くて、恵まれていると想う。

でも、人間関係だからいつこの関係が壊れるかも分からない。

 

壊れる瞬間のことを思う。

一度、その覚悟を自分の中でしたことがあった。

彼女が怒っていて、でも怒っている理由は言ってくれず、なんだったら怒ってるのに怒ってないと言い張られる。

美術館に入ってからも、余り美術品に集中出来ず、親友も私と見たくないんだろう、どこかに行ってしまった。

 

 

「あぁ、もしかしたら今日は彼女と親友であることが終わる日なのかも」とぼんやり覚悟をした。

 

 

まだ実際に決別を言い渡されてはおらず、現実味もそれ程大きくなかった。

買いたてのアイスが一口も食べられないまま地面に落ちてしまったのを見ているような、とにかくしょうがないという気持ち。

 

親友のことが好きだから、自分といたくない、もう親友じゃないという気持ちを受け入れたいと思った。

それが自分なりの愛情だし、無理に引き止めてももうそれは友情ではないんだと。

時間が経てばもしかしたらまた友達になってくれるかもしれないし。

 

期待と軽い喪失感を抱きながらお土産コーナーを見ていると、笑顔でごめんねー!と親友が駆け寄ってきてくれた。むすっとしていた理由も言ってくれた。

嬉しかった。

彼女が謝ろうと思う時どんな気持ちだっただろう、私とのコミュニケーションの誤差を埋めようと決意し、朗らかな雰囲気にせねばと笑顔で駆け寄ってきてくれたこと。

 

大喧嘩をしたわけじゃなし、大げさだとも思うんだけど、

彼女がそうしようと決意してくれたことが嬉しかった。

 

 

彼女と決別の時がきたらそれは受け入れようと思ったのは、

彼女への感謝と、それまで仲良くしてきた時間と気持ちはなくならないということが自分の中ではっきりとあったから。

 

作中に出てくるアイとミナの関係を見ていて、親友や、友達も、好きな人はみんな、自分を作ってくれる大切な人達だよなぁと思いました。

 

「i」は、沢山見ているわけではないですが、震災を扱っている作品で初めて嫌な気持ちにならなかった作品でした。

 

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